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バストファージョーンズ

バストファージョーンズ氏の朝は早い。
今日の寝床は高級レストランだ。目を覚ますやむっくりと身を起し、その巨体を優雅に伸ばすと、自慢の毛並みを丁寧に整えた。
それを見て取ったコック長が仕込みに使った牛のすじ肉を細かにほぐして銀の皿に盛りつけ、供する。
しかし氏は毛並みをつくろうのにご執心で。
皿の上のご馳走をまるっきり無視して尻尾の先までゆっくりと舐めて毛の流れを整え、そうしてようやく皿に目をうつした。
匂いを嗅ぐと、確かに良い肉であるように思えた。が、冷たい。
ちろりと舐めてみると、塩気もききすぎている。
ふむ。とコック長を見上げると、彼は自信のある様子でバストファージョーンズ氏を見つめている。

「ワシに供するからには、程よく温め、塩は控えめにしていただきたいものだが」

注文をしたところで、人間に通じるわけもないが言わずにはおれない。なんといったって彼はグルメなのだ。
それ以上口を付けない様子に、コック長は眉尻を下げて困った顔になり、そそくさと皿を下げると、次はスープ皿を出してきた。
目の前に差し出されるのをつつましく待ち、その料理を検分する。
ほんのりと温かいそれは、猫舌にはちょうど良い温度で、透き通ったスープにきらきらと魚の脂が浮いて、かぐわしい魚介の匂いに食欲をそそられる。
舌をつけると、海老、貝、白身の魚の味が絶妙に混じりあった素晴らしい味だった。

「うむ。素晴らしい」

素直に賛嘆の言葉を口にし、ぐるると喉を鳴らしてみせると、コック長はようやく安心したように笑みを浮かべて安堵のため息をついた。



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設定
過去のffから。
10/11/08のヤツですがこれがすべてって感じ。
というわけですごくラクでした(笑
レストラン街に住む野良猫で、定住の塒は無くてレストランに出入りする感じ。
彼の舌が認めたフォンは評論家の評判も良いという噂。
ジェリクル達と付き合いは無いですが、ガスとは無二の友人。


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