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スキンブルシャンクス

朝の空気は清廉だ。
まだ生まれたばかりのような白っぽく青い空と、誰も起きてるもののない街の気配。
眠りが支配する時間の終わりを告げる、優しいやさしい光り。
恋猫に会うにぴったりの、ロマンチックな景色だと気分よく鼻歌を歌いながら、スキンブルシャンクスは慣れた道を行く。
駅からまっすぐ、それから左。一つ、二つ、三つ目の角を入って古びた木戸を目指す。
腐りかけて穴のあいたそれは、何度も行き来をして潜り抜けたせいで棘どころかささくれ一つ無く、すべすべしている。
ふんふんと鼻を近づけて匂いを嗅ぐと、微かに甘い麦のような匂いがした。

「ジェニさん、いる?」

心持ち声を潜めて尋ねながら、木戸をくぐると冷たい階段を降り、まだ暗い物置の中をぐるりと見渡す。

「…スキンブル?」

返ってきた声もまた、ひっそりと抑えたものだった。
声を頼りに歩み寄れば、久しぶりに会う世話焼きおばさん猫は、ちょうどネズミたちを寝かしつけたところのようだった。

「こんばんは、かな。それともおはよう?」

音を立てぬように歩み寄り、傍らに座る。
優しく囁く微笑みは、どんな雌猫もうっとりと見とれそうな程に柔らかい。
しかし、快活なおばさん猫は瞬きをして、くあ、と遠慮なくあくびをした。

「これから、少し寝ようかと思ってたんだよ」

言葉通り眠そうな、ややもたついた語調で言いながら、ジェニエニドッツは伏せた己の前脚を見下ろす。
つられて視線を落とせば、オレンジの前脚の間に並んで3匹の仔ネズミが丸くなっていた。
白く丸い背中はふかふかのパンのようだった。

「そっか。じゃ、おやすみなさい。だね」

丸い頭に顔を寄せてその平たいてっぺんを舐めると、ジェニエニドッツは喉を鳴らし、それからくす、と笑った。

「悪いね」

「いいえ、僕も徹夜明けだし。…隣で寝ても?」

「勿論」

立ち上がってくるりと回ると、スキンブルはオレンジの体に寄りそって伏せる。
彼女が心持ち寄りかかって来るのが分かったが、スキンブルの大きな体は難なく彼女の体重を支えることが出来た。
夜明けと同じ、青い目を閉じて一つ息をつくと、「ああ、そうだ」と彼女が呟く。

「お帰り、スキンブル」

眠りに入る前、舌足らずに囁かれた言葉はなんてこと無い言葉だったけれど。

「ただいま、ジェニさん」

どんな言葉よりも優しく暖かく、スキンブルは幸せな気持ちで心地よい眠りに落ちて行った。



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設定
年齢:30後半〜40代。
爽やかアイドル猫だけど結構年。
多分キャッツファンサイト中歳年長じゃないかと(笑
年上のイメージはビデオ猫とやけに体のでかいスキンブルが原因です。
ジェニさんと恋猫。
爽やかイケメン。

そんなイメージ。

列車は彼らの街を夜出発し、一週間くらいかけて早朝に帰ってきます。
ジェミマとか、街の猫が迎えに来る事もありますが、それがなければまっすぐジェニさんのいる地下室に向かいます。
そこでひと眠り。


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