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シラバブ

言葉を知らないというのは、こんなにももどかしい。
伝えたいのに、全てを知らせたいのに。

「あらあら、また、泣いてるの」

長いしっぽをゆるりと動かし、ボンバルリーナはジェリーロラムの胸に顔を擦るようにしてぐずるシラバブを見て言った。

「んーん!」

「朝からなの」

美しい姉猫を振り返りもせず、不機嫌そうな呻き声をあげるシラバブに、困ったような笑みを浮かべるジェリー。

「バブ、どうしたの?」

「…」

そっと、小さな頭を舐めてやると、シラバブはちらりと振り返った。

「ん?」

「…お星さま」

リーナが優しく促すと、ようやくぽつりと呟いた。

「お月さまが、大きい雲のなかのとこにいたときに、お星さまがあって、いっぱいのとこのなかに、そうじゃないのがいたの」
たどたどしくも懸命な言葉は、しかし漠然として理解できる内容ではなかった。
そして、リーナの表情から理解されなかった事を知ると、シラバブはまた小さな額に皺をよせ、ジェリーの胸に顔を埋めた。

「ちょっと…難しいわね」

「ミストなら、わかるかも知れないけれど」

苦い笑みを浮かべるリーナに、ジェリーも微笑む。

その言葉を聞きながら、シラバブは己の言葉の未熟さにもどかしい気持ちでいっぱいになる。
言葉を知りたい。
もっと、伝えたい。
小さな心のなか、あの年老いた灰紫の雌猫の背中を思い浮かべた。
グリザベラ。あなたに、あたしのこころは、つうじましたか?



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設定
年齢:5歳くらい。か?
幼児の年齢ってよくわかんないぜ。

ジェリーロラムと暮らす仔猫。
彼女だけ、公式に年齢が決まっているんですよね。(@3ヶ月の仔猫)

当サイト独特の設定としてはお父さんがマンカストラップでお母さんは・・・
という。
(それははっきり書くつもりもないことですけど誰が育ててんのかというところで明らかに彼女かと)
雌猫に、誰が父親なのか問うことはタブーなので仲間の誰もそれを知らない。
けれどマンカスがシラバブを特別に可愛がっているのは皆知ってます。
けど皆にとってもシラバブは可愛い存在。
純真であどけなく、ちょっと頑固でお転婆。
コリコとケンカごっこするのが大好きです。
(舞台でコリコとじゃれあってるのがホントに可愛くて。江コリコが、グリザベラに近づこうとしたバブを諌めるのにもすごいときめいた)

シラバブにとってグリザベラの存在は大きいと思う。
悲しい、寂しい、痛ましい、孤独。そういう言葉を知らなくも、彼女の姿からそれを知ったと思う。

小さな萌芽のように、自分の事を未熟でもどかしいと思っている。

伝えたいのに上手く伝えられないもどかしさから、将来は言葉の上手い繰り手になるかもしれない。
弁が立つというよりは、吟遊詩人のように出来事を伝えるひと。
女優猫と詩人猫なんて、美しいじゃないですか。

ん年後…なんてパロディもファンフィクなら定番だし、面白いかも知れない。


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