夢を見たのは、もう終わったことだからかもしれない。
夢の中のあたしは、まだチビでガリガリの仔猫で、大好きなあのひとのために何ができるのか、一生懸命考えていた。
小さな前脚で捕らえた獲物は、すぐにぐずぐずと砂になって消えた。
早く、狩りをしないと。
焦燥に駆られて、あたしは走る。
獲物を差し出せば、あのひとの気を引けると、今思えば幼い考えで。
足が痛む。
ずぶりと砂にめり込む。
一足ひとあしが、もどかしく重い。
視線の先に、あのひとの背中が見えるのに。
名前を呼びたい。
振り向いて、あたしを、砂の中に置き去りにしないで。
でもあたしは、仔猫のあたしは、あのひとの名前を知らないのだ。
カーバケッティ。
その、温かい名前を。
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設定
25歳くらい?
小さい頃に、カーバケッティと一緒に過ごし、後にマンカストラップさんと一緒に育つ。
カーバケッティのことは「終わったこと」としてとらえています。
その一つの節目に当たるのが舞踏会。
とか。
そのうち長編にでもして書きたい感じです。