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「…という訳なんだけど、どう思う?」

「なぜ私に聞くのかしら」

ディミータは毛繕いをしながら、アロンゾのほうを見もせずに言った。

「連れないな。俺の唯一無二の友達じゃないか」

「…貴方、友達居ないの?」

そこでやっと顔を上げ、ディミータは不憫そうな目でアロンゾを見る。

「親友って意味だったんだけど」

「ああ、なるほど」

と言ってまた毛繕いに取りかかる。

「ずいぶんと今日は熱心だな」

毛一筋の乱れも許すまじとばかりに身体をよじり、あちこち舐める彼女に、一輪の花を差し出す。

「なに?」

「これを、こう」

と言って首輪にさしてやる。
「ちょっと…! やめてよ、花なんて」

「いくら毛並みを整えたってさ。そんくらいしないと、マンカスは気付かないぜ」

当てずっぽうだったが図星だったらしい。
ディミータは面白いくらいに顔色を変える。

「あーあ、うらやましいぜ。俺は一人だ」

「ねえ、これ取ってってば!」

わざとらしく嘆いて見せて、騒ぐディミータをそのままに、そそくさとその場を後にした。