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秋の初めの冷たい雨の日


 どこか遠いところから来たという彼は、きっといつか、どこか遠いところへ行ってしまうと思った。

「カーバは、どこで生まれたの?」

「どうしてそんなこと聞くんだい?」

「遠いところ?」

「そうだね。きっともう二度と帰れないよ」

「帰りたい?」

「いいや。全く」

 あまりにもあっさりと答えたものだから、本当に彼が生まれた街には未練が無いのだと分かって、ランペルティーザは口元が緩むのを誤魔化すように彼の胸元に頭のてっぺんをくっつけた。

「どうしたんだい? 寒い?」

「…あったかい」

 彼のわき腹に体をくっつけて蹲ると、カーバケッティは少し戸惑ったように身じろぎし、それからランペルティーザを抱きこむようにくるりと丸くなった。
 夏が終わり、秋がやってきた。
 冷たい冬はもう、すぐそこに迫っている。

15/09/18
こんな雰囲気が、私の考えるカーバケッティとランペルティーザの関係。
自分が流れもので、自由気ままに過ごしているから、きっと自分の大事なひとだっておなじで、いつかどこかに行ってしまうかもしれない。って考えてる。

なんどもなんども同じ事を彼女はカーバケッティに聞いて、そのたびにカーバケッティは「ああそういやあの街の事は忘れてたな」なんて思いながら答えて、ランペルティーザはその答えでやっと安心できる。
みたいな。

【index】 【ff】


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